古河城御三階櫓三次元CGの制作(02)二次元立面図の作成
(2018.6.20 記)
第1回で紹介した資料を使っていきなり三次元CGを作ることも出来ますが、納まりを検討したり、その結果変更したりといった事が起こると非効率なので、急がば回れで先に二次元で立面図を作成します。
基本となる図は建地割図(第1回のA図)ですが、大きな問題が二つあります。
一つは妻側立面が描かれてなく、最上層の入母屋屋根の形状が判らないこと、もう一つは壁が描かれてなく、壁の外法寸法が判らないことです。
まず、壁外法寸法について検討します。
注意する点として、壁の厚さではなく柱部分での壁被り厚さが必要になるのですが、しかしそういった細かな寸法は、普通の城の書籍などでは全く判りません。
そこで参考としたのは土浦城東櫓ですが、その壁厚は7寸4分程で、柱の壁被りは厚さは3寸となっています。また、不確実ですが伊予の宇和島城天守では4寸強位あるようです。
この数字を御三階櫓に単純に当てはめると、最下部の土台材が壁から飛び出してしまうので、それが隠れるように壁厚を増し、柱の壁被り厚さ162ミリとしました。
従って1重目の壁外法寸法は
平側 桁行(9間1尺)+柱太さ(7寸)+壁被り厚さ(両側)
=16665+212+324=17201ミリ(17.2メートル)
妻側 梁行(8間)+柱太さ(7寸)+壁被り厚さ(両側)
=14544+212+324=15080ミリ(15.1メートル)
となりました。2重目、3重目も同様に壁外法寸法を決めています。
次に最上階入母屋屋根について検討します。
屋根の勾配、反りは単純明快に写真照合で決めました。
手順としては簡単なワイヤーフレームで三次元モデルを作成、それを写真と重ね合わせてワイヤーフレーム形状を修正し、その出来上がり形状を使って各部寸法を割り出しました。
また、この時に窓の位置も検討しています。窓は柱間に開けられるので水平位置は自ずと決まりますが、垂直位置は写真照合で決めています。
そうして出来たのが御三階櫓立面図.pdfとなります。
※参考文献「土浦城東櫓復元工事報告書」土浦市教育委員会
土浦城東櫓は古来の工法によって平成10年に復元された建物ですが、報告書に詳細な図面が載っており、非常に参考になります。